2026/03/11

劇場・稽古場・自己の公共性

 MMSTは、2007年に奈良県天川村にある古民家を改装し占有アトリエを構えました。その後、代表が福岡に移住したことを機に2015年には福岡市内に団体事務所兼稽古場を構え、2021年には大川市に稽古場や滞在スペースを保有した劇場を立ち上げました。 天川村のアトリエは残念ながら昨年閉鎖することになりましたが、私が創作環境の重要さを初めて教えられた大切な場所でした。 稽古場を構える前は、公共施設や有料スタジオをレンタルして活動していましたが、占有ではない場所を利用する場合、利用時間の制約や舞台で使用する道具を置いたままにできないなど、様々な制約に縛られます。 そして何より利用料金という経済的な問題は活動の存続にとって深刻なことでした。  MMSTでは総合的に考えて自分たちの「場」を持った方が有益だろうという判断から占有稽古場を持つに至りました。越えるべき問題は多々ありつつも、これまでなんとか運用を継続しています。 稽古場を持ち続けることには確かに様々な努力が必要ですが、毎回稽古場を確保できるか、利用時間内に練習を終えられるかといったストレスからは解放されますし、本番に近い形で舞台セットを組んだり、テクニカル的な調整も行えたり、24時間体制で試行錯誤できる空間があるということはやはり創作において大きなメリットと言えます。 そして、昨年行った天川村アトリエの最後の公演で、国内外から関係者が集い共通の思い出を語りあう光景を目にし、「占有とは閉じられると同時に拡がる」ということであり、ここに「公共」ということの実態があるのではないかと強く感じました。 効率や稽古の質という問題だけではない、その「場」に集まった人々それぞれが持つ自己の体感の蓄積、そして、そこから拡がっていく関係性の中に、集団芸術、空間芸術と言われる演劇にとって重要な要素があるのだろうと思います。

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