2026/06/14

国際交流の理想と現実

 MMSTでは、韓国や台湾の演劇人とのご縁があり、かれこれ10年以上毎年何かしらの交流事業を続けてきています。国際交流では、演劇に限らずどの分野においても「言語や文化的背景、価値観も違う人々とお互いに尊重し合う」ことを理想としているのではないでしょうか。理想をそのままシンプルに遂行できればいいのですが、実際に事業をおこなっていくと現実はそんなに簡単ではないことに気付かされます。「違う」ことを前提にしていても、共に作業を進めていくと互いに譲れない部分が出てくることはもちろん、尊重しているつもりがかえって相手の立場を軽んじるような行動になっていた、ということさえあります。MMST代表は、国際共同創作をはじめておこなうことになった当初、関係者に対して「交流はできない」ということからスタートすべきだと話ました。その際関係者からは何を身も蓋もないことを言い出すのだと驚かれました。しかし、これは「交流ができない」と諦めているわけではありません。むしろ「交流ができない」というスタートラインに立ってはじめてどうすべきか悩んだり工夫をする、その試行錯誤の過程がこそが「交流」なのではないかというスタンスの表明でした。仲良くするというだけであれば飲み会で楽しく過ごすことで実現できるのかもしれません。しかし、あえて「舞台芸術を通じての交流」を求めるならば、もう一歩踏み込んだ「交流」を考える必要があるのではないでしょうか。それは、作品の創作という目的を共にする人々が、相手のことがわからないからこそ悩み、どう実現するかを考え行動していくこと、その過程の中で相手の文化や異なる価値観に対峙していくという態度が芽生えていく、ここに国際交流の意義があるのだろうと思います。 

Translate