なんとなく決める、ということは多くの人々が日常的に経験していることだと思います。特に現代ではこの「なんとなく」が好まれる傾向にあると感じていますが、ここに人間の成長を考える上でとても危険な要素が含まれているのではないかと私は考えています。 もっとも問題だと感じる点は、自己の責任において自覚的に決定する過程を通過しないことです。「なんとなく」では、選択肢の中から一つを選び、決定する基準が曖昧になる為、ある意味、楽に取捨選択をすることになります。これは裏を返せば思考の過程を放棄することでもあるのです。これが常態化すると目的を達成するための工夫や挑戦自体が弱まり、人間力とも言うべき生きていく力が弱くなるのだろうと思っています。無自覚に出現する「なんとなく」の病には、自覚性を持った「大人の責任」がもっとも効くのではないでしょうか。