2024/09/15

「なんとなく」の害

 日常生活において、なんとなく選んで決定してしまうことは少なくありません。それは「なんとなく」という感覚的な気持ち以上に特にこだわりがあるわけでもないですし、普段の生活の中で些細なことの一つひとつを分析、思考して理由づけていくことは疲れると思ってしまうからです。 ただ、舞台上で実際に創作を進める過程においては、この「なんとなく」の決定は「そこにこだわりがない」「価値をおいていない」ということと同義ということになってしまいます。名優と言われる人達の中には「舞台上では何も考えていない」「感覚的にやっている」という人がいますが、それは言葉上でのことであり、実際は考えていないわけでも、選択を放棄しているわけでもないのだろうと思います。 MMSTでは、「今、この瞬間をどうつくるか」という舞台の戦いの場では、この「なんとなく」が最も強く厄介な敵であると考えて日々の訓練を重ねています。

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