2025/06/30

過去の参照

先日仕事で、高校生の研究発表大会に立ち会う機会がありました。参加していた学生の多くは事前にプレゼン資料や原稿を作り込んでPRしており、審査員の質問に対して原稿の中から必死に応えようとあたふたしてしまう学生が多かったと思います。そんな中、印象に残ったのは、質問をきちんと受けとめ、たどたどしくも自分の考えを述べている学生の姿でした。私もかつて就職面接で事前に準備してきた問答に頼りきり、ちぐはぐな答えしか返せなかった苦い経験があり、面接やプレゼンに苦手意識があります。準備したものをどんなにうまく再現できたとしても、「今」という時間やそこにいる相手や状況を無視すると、伝わるものも伝わらなくなるのだと今回改めて感じました。とはいえ、事前準備や過去の経験が必要ないということではありません。「以前はこうだった」とよく過去を参照してしまう私自身の実体験から考えてみると「過去を参照する」ことが悪いというよりは、「今」をなんとかするという前線への意識の弱さが問題なのだと思います。事前準備はあくまで、前線に立つという「今」に対応するための道具であり、その道具は前線でより良く戦う為にはやはり必要なものなのです。「今」がどうなっているか、そして、「どうするか」を引き受けて、「過去の参照」という道具を活かして「やってみる」ということが重要なのだろうと思います。

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