2026/02/02

「やりたいこと」と「やらねばならないこと」

 先日、我が家に遊びにきた小学生の甥が宿題をしないままYouTubeに夢中になり、私の母に怒られていました。聞けば、甥は夕飯後に宿題をすると宣言し、夕飯前もYouTubeを見ていたといいます。夕飯を終えてもなかなか動かない甥に痺れを切らし「自分で約束した通りに宿題をしなさい」と注意すると、甥は泣きながら「やりたくない」と言いました。そこまで拒むならば困るのは自分なのだからやらなければいい、と言われると今度は「やらないといけないということは分かっている」と言いながらようやく宿題に取り掛かりました。一連の出来事をみて、子どもの頃は「やりたいこと」だけをやるが、大人になるにつれて「やらねばならないこと」に変わっていくのだな、と自分の過去を思い返し、考えさせられる機会になりました。近年、SNS上では「やりたいことをやろう」という世界中の人々が発信するメッセージで溢れかえっています。実際、それを実現して成功したという起業家も数多く存在し、多くの理解を集めているのではないでしょうか。「やりたいこと」を否定するものではありませんが、社会の中であらゆる関係性が絡めば絡むほど、そして目指す理想が高ければ高いほど、やはり「やらねばならないこと」を差し置けないのも事実ではないでしょうか。MMSTの参考資料の一つに『だいこんに花が咲いた』という高千穂高校剣道部のドキュメンタリー映像があります。強豪剣道部を率いる監督が生徒たちを鼓舞する印象的なシーンがあり、ここに「やらねばならないこと」に対するヒントがありました。

「一流とは、一流の苦労、技術、心を持つこと。そして、自分がそれを選ぶのなら、『やらねばならない』準備をし、実行し、反省をする。それをせずに、ああなりたい、こうしたいという『やりたいこと』を望むな」というものです。

シンプルに考えれば当たり前なことなのですが、この当たり前の実践が最も難しいことは多くの人々に賛同頂けるのではないでしょうか。芸術分野で生きようとすると、ともすれば「好きなことだけやってていいね」と思われがちです。私は「やりたいこと」だけやりたいと思う子どもではなく、「やらねばならない」準備をし、実行し、反省をして「一流」を目指したいと思います。

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