2026/04/05

思い通りにいかなくなった時こそ必要なこと

 美術を学んだことがある人なら物を描くデッサンは一通り通過していると思います。私も高校時代はデッサンに明け暮れた時期を過ごしました。美大を受験したため入試にはデッサンが必須。入試が近づいてくると焦る気持ちから段々と自分が描いているものが良いのかどうか分からなくなったことがあります。そんな状況を察してなのか恩師が一言「おまえ、自分の絵ばっかり見とったらつまらんぞ(ダメだぞ)」。当初全く意味がわかりませんでしたが、恩師曰く変に焦ってくると視野がどんどん狭くなり自分がどうなっているかということばかりに気を取られていく。そうなると悪循環でどう頑張っても目に見えているのが自分の描いてる絵ばかりになり、うまくいかなくなるのだと言います。うまくいく人は目の前の対象物やもっと広い意味での空間に対しての意識があり、もっといえば一緒に描いている周囲の人が描いているものまで見えていたりするのだと。当時はそういうものなのだろうかと半信半疑でしたが、社会に出るとこれはデッサン以外でもほとんど当てはまるのではないかと思うようになりました。仕事でも人間関係でも思い通りにいかなくなることが多々ある中で、うまくいく人は周囲や相手の状況をよく見ており「自分がどうか」よりも「その場をどううまく進めるか」に視点が注がれているように思います。逆にうまくいかない場合は、かつての私のデッサンのように自分の絵ばかりが気になってしまうということかもしれません。実際にこのブログでも何度となく紹介した韓国人俳優の多くはこの周りへの視点の強さが際立っていると思います。もちろん平常時では多くの人がよほど自己中心的でない限り、周囲への配慮や客観的視点を持っていることがほとんどではないでしょうか。重要なのは思い通りにいかなくなった時にどうするかが人間としての力量を問われているのだと思います。MMSTの稽古でもこれまで頻繁に言われている話ですが、思い通りにいかない時こそ、周りとの関係性を意識できるか。その関係性の中での振る舞いが相手にどういう影響を及ぼすのかを考えられるか。そこに自分の絵ばかり見て右往左往しているうちは状況を変えることも周りに良い影響を与えることもできないのかもしれません。

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