MMSTの稽古では「台詞を喋る、動く」といった外側から見てわかりやすい部分ではなく、「身体の重心を保って立ち続けること」や「日常とは違う感覚の中で呼吸を続ける」という表面的には認知できないものを重要視します。この見えない部分への自覚的な意識を養うために俳優は訓練を続けなければなりません。スポーツでも音楽でもその他の分野でも、たいてい基礎トレーニングというものがあります。舞台芸術でいえば、バレエのバーレッスンがそれにあたります。プロと呼ばれる人々はこの基礎トレーニングを怠りません。
この基礎を継続することは地味で退屈です。しかし、ここにどれだけ向き合えるかによって成長の度合いが変わると言われます。地味の語源は、「本質的なものの趣」という説がありますが、物事の本質を捉える為にはこのような地味で退屈な取り組みが必要不可欠なのかもしれません。一流と言われる人々が基礎を重要視する所以はここにあるのではないでしょうか。