人は実際に目の前にいる人だけではなく、その場に存在していない他者も含め、様々な意識を張り巡らせて生活しています。いわゆる偉人と言われる人々の話を聞くと、意識されている範囲が社会や世界といった広いコミュニティに及んでいるように感じます。近年ではインターネットの出現により簡単に世界と繋がる状況ではあるのですが、この意識の及ぶ範囲はむしろ狭まっているのではないかと感じずにはいられません。例えば、残業代が出ないなら会社の飲み会に参加したくない、という社員が当たり前のように増加し、知人の経営者からも同様の件で頭を抱えているという話を良く聞くようになりました。飲み会を強要することは所謂“アルハラ”としてやってはいけないことという風潮が強くなっていますが、少し意識が狭いのではないでしょうか。参加したくない人は昔から数多くいたはずですし、私自身の会社員時代を振り返っても体調やその時々の心境によっては参加したくないと思うこともありました。しかし、実際に会社でいえばその組織内での人間関係はもちろん、会社の取引先との付き合いもあり、自分という範疇だけでは判断することのできない「範囲」があるのではないでしょうか。
最近、女子高校剣道でインターハイ優勝した強豪校選手のドキュメンタリーを見ました。彼女らは、「自分が負けてしまったらどうしよう、他の皆に迷惑をかけるんじゃないか、と不安になっていたが、それは自分のことばかり考えていた。自分がどうかではなくチームのためにできること、先輩たちが作り上げてきたことを次に繋げていくこと、後輩たちをインターハイに連れていってその世界をみせることをやるんだ」と力強く語っていました。自分の不安という自分だけの範囲ではなく、チーム全体やすでに卒業して目の前にはいない先輩たちの姿さえも意識されており、こういう考え方や姿勢に私自身もあらためて考えさせられました。このような「意識の範囲」を広げていくことが今最も必要なことなのではないでしょうか。